声の網

　クリスマス更新。第三弾。
　一応、第五弾まであります。
　新年早々にクリスマス（笑）
　と思わないでもないのですが、一応課したお題なので頑張ろうかと。
　そしてクリスマスが終わると、今度はバレンタインか……。
　バレンタインは早めに始めて、第五弾で当日を迎えるようにしたいとか、考えてみたり。


　ロマ日。


　
　　
　「ロヴィ君！」
　「落ち着け」
　「どうしたらこの状況で落ち着いていられますか！　ああ、もぅロヴィ君ったら……」
　「……たら？」
　「好き好き好き！　大好き！　愛してます！」

　本田の珍しい熱烈な告白にも、お決まり的に口の端を皮肉たっぷりに吊り上げたロヴィーノはしかし本田に向かって大きく腕を広げる。
　迷わずに飛び込んで、抱き締められながらうっとりと抱擁を堪能した。

　ただの抱擁ではない。
　純白の枢機卿衣装を纏ったロヴィーノの抱擁だ。
　
　クリスマスのミサに着ると言うので、そのままでデートしたいです！　といったら無言で強烈なでこぴんを貰った。
　凄く嫌そうだったので、残念だけど仕方ない、と諦めていたから余計に嬉しい。
　老舗のイタリアンブランドを粋に着こなすロヴィーノの格好良さったらないが、　枢機卿の衣装はまた格別だ。
　純白の枢機卿服は本来法王にしか許されていない。
　だから、よく見れば細やかな装飾が全然違う。
　フェリシアーノのそれともやはり違った。
　笑顔のフェリシアーノと違い、ただ真摯な表情を保つロヴィーノの口から溢れる慈しみの言葉は心に染みた。

　だから余計に。
　その雰囲気のままに、本田を抱擁してくれる、その事実が嬉しい。

　「惚れ直したかよ、ちくしょー」
　「ええ。惚れ直しました」
　顎を拾われたのでそのまま、目を閉じてキスを甘受する。
　しゃら、と装飾が揺れる音が耳に心地良い。
　しばらく無言で深く唇を貪りあって、お互いを感じ合う。
　どちらからともなく唇を離して息を吐いた。
　
　「このままの格好でやりてぇとか、言うなよ」
　「やったことがあるとか、いいませんよね？」
　「ねぇよ！　このやろー！」
　「言いませんよ。今は」
　「……飯が先ってか」
　「ええ。お食事はその格好でも問題ないのでしょう？」
　「ねぇけどなぁ……」

　ふんと鼻を鳴らしたロヴィーノは不満げだ。
　
　「ワインを一杯付き合って下さったら、ベッドへ直行でもいいですよ？」
　「は！」
　「衣装を変えないでいて下さるなら……騎乗位で腰も振っちゃいます」
　「サービス満点だな」
　「そりゃもぅ！　だって、ロヴィ君……格好良いんですもの」

　ミサの最中には崇高さしかなかった。
　だがこうして本田を抱き締めるロヴィーノからは、崇高さよりも凄絶な色気を感じる。
　
　正直、辛抱堪らない。

　「……お前は何時でも可愛いぜ。ベッラ」
　
　ロヴィーノは、ひょいと本田の身体を抱え上げ、テーブルの上に置いてあったワインボトルを本田に手渡す。

　「お前のことだ。グラスはベッドに持ち込んであんだろ？」

　共犯者の笑みを浮かべたロヴィーノが、本田の額へ己の額を軽く押し当てる。
　
　「ええ、勿論です」

　ロヴィーノの欲情に濡れた目を覗き込んだ本田はやはり。
　ロヴィーノと同じ共犯者の笑みを深く刻んだ。
　
　
　お次は、魔人の如月壬生。
　忍者的クリスマス描写ができればいいけど。
　忍者的クリスマスってどんなん？
　と迷います。